|
今回のフォーラムでは、まず「地域連携学校教育とは何か」ということについての共通理解を深め、引き続き、大阪府下で取り組まれている様々な地域連携学校教育の事例発表に基づくパネラーと参加者による議論を行い、地域連携学校教育の可能性と課題について実り多い意見交換が行われた。
稲垣 卓 大阪教育大学学長の挨拶では、大阪教育大学が柏原市に移転して以来、15年間の連携・協力による信頼関係が今回のGPに結びついたこと、このGPは、学生を構内にとどめるのではなく、地域や地域の学校に触れる教育実践スキルの向上を目指した教員養成プロジェクトであることが述べられ、本フォーラムが、新しい視点への気づきやネットワークの構築に寄与し、このような取り組みが全国に広がっていくことへの期待が述べられた。
次いで、このGP取り組み責任者である大阪教育大学教職教育研究開発センターの關 隆晴氏による 「地域連携学校教育の背景と実施状況」と題した基調発題があった。ここではまず、本GPは、環境教育の一環としての「森林体験学習」、起業家教育に基礎をおくキャリア教育よしての「キッズ・ベンチャー)」そして学校教育の在り方を模索する「スタディー・アフター・スクール」の3つの事業で構成されており、?これらの事業の継続的実施体制の構築と、?これらの事業への学生参加システムの構築を目指すものであるとの紹介があった。そして、この取り組みの課題背景としての個と集団の関係性、時代背景としての環境と情報社会によるグローバル化が指摘され、持続可能な開発のための教育の一環として地域連携学校教育が位置づけられた。
国立教育政策研究所生涯学習政策研究部の岩崎久美子総括研員による基調講演 「現代社会における地域連携学校教育の意義」においては、あるガールスカウトの入団式でベトナム人神父が「イスラエルに2つにある死海とガラリア湖は全く違う。死海は外でつながっていないが、ガラリア湖は河川などで外とつながっている。死海は生物が生息していないがガラリア湖には様々な生物が生息する。あなたたちはガラリア湖になりなさい」と話されたことが紹介され、「これは、学校の在り方にも通底するものであり、地域とつながっている学校が発展する。そして従来、学校が地域の中心にあった。」ことの指摘から始まり、2つのキーワード、「地域」と「学校」を基に話を展開された。
1. 地域とは何をさすか?
地理的には (1)地理的基準(リージョン) (2)社会的・文化的基準(人間が生活を営むための便宜的基準、エリア) (3)行政的基準(学区を含む) と整理され、地域と類似したことばである「コミュニティ(地域社会)」について、地域性(人が住む地理的な地域)と協働性(一緒に何かをするということ)とコミュニティ感情(ウィーフィーリング、我々感情)の3つから成るという定義が紹介された。
2.学校と地域社会の関係について
従来、通学区と地域住民の共同体意識が強かったことが指摘された。
3.地域と学校の結びつきについて
通学区から離脱という形で地域と学校の結びつきが変わりつつある現状について、義務教育段階での私立学校への通学と、公立学校での学校選択制の導入と中高一貫教育があげられる。その背景として、市場経済において消費者に保証される「離脱」と「発言」の権利からの分析がなされた。教育も消費者として理解すると、ある制度から出て行く権利(市場における選択の自由)が保証されることになり、バウチャー制度にまで議論が及んでいる。一方、「発言」の権利に関して、保護者による学校へのクレームが話題になっているが、逆にコミュニティ スクール(学校運営協議会制度)の推進も図られている。しかし、今まだ道半ばであると述べられた。
4.学校と地域連携のあり方
子どもにとっての社会である学校、という視点に立って考えることの大切さが指摘される。
- 学校選択制における地域連携の事例として「早寝早起き朝ご飯体力学力向上プロジェクト」事例がDVD映像を使って報告された。教員は熱心だが、保護者に問題があったため、外部評価委員会がPTAと組んで、地域の民生委員等の人材にも恵まれた。この事業には親の参画が必要であったため、親が協力することの効果を明らかにし、保護者への啓発を目的とした。親の参画群(7時20分に登校、ラジオ体操、朝食、歯磨きを3週間実施)と非介入群との比較。親の参画群と親非介入群で実験となるので、親の同意が必要であり、説明会を3回実施した。3週間なので学力に関しては変化はみられなかったが、歯肉の硬さと体温上昇に変化が見られ、保護者啓発では成功した。イベントの時は、盛り上がるが、普段の教育活動の中ではまだ難しい。
- 伝統的な地域社会における地域連携の事例として、夏休み期間中に毎日合計58講座、子どもと大人が学び合うサマーワークショップが紹介された。数年継続している。このような実践が出来る背景には、学校の歴史が古く、親子何代かに通学した愛着・愛校心があった。また地域の特徴としては商店街が形成されていて地域の範囲が明確であること、そして地域人材の存在し、地域コーディネーターの存在と、綿密な打ち合わせが行われていることが指摘された。
5.学校教育を中心とした地域社会の機能
- シンボル的機能: 学校行事などによる思い出に基づく、定住意識、愛着心。
- 社会化機能: 地域生活の中での子どもの発達に応じた所属集団の拡大の場。
- 社会規範機能: 自治的生活共同体の中で、地域の持つ環境、雰囲気形成。安全の確保につながる事例。
- 共生機能: 災害対策など問題解決型の共同活動の場としての学校施設。今後必要性の高まる、地域のおける相互扶助。
- 学習資源機能: 地域に根ざした人材、図書館、公民館など社会教育・生涯学習の施設等の学習資源の活用。
- 人間性維持機能:社会資本としての、人間関係、社会的ネットワーク機能。
最後に、幼いころの学校教育を受けた時代の思い出が、人生の後半に豊かなものをもたらしてくれるということを考えると、小・中学校の教育で子どもたちに何を与えるかということの重大な意味を感じる。そして、前述したベトナム人神父の講話のように、学校は多様な生き物の住むガリラヤ湖と同様、外(学校外の地域)とつながっている必要があると考える。そのための人材をつくるため、学校と地域の有機的な連携を模索する、このプロジェクトに敬意を表し、成果を上げることを期待する。そして新しい未来をつくる子どもたちのための大きな布石となることへの期待で、講師の話は結ばれた。
大阪教育大学家政教育講座教授 野田文子氏のコーディネートによるパネルディスカッション「地域連携学校教育への期待」 では、まず コーディネーターから、島の学校で育てた子どもが都会に出て行って戻ってこないという、瀬戸内海の豊島の老人の悔悟の言葉が紹介され、このパネルディスカッションでは、本学が取り組んでいる「地域連携学校教育の取り組み」と「直接、地域連携学校教育としてではないが同様の内容の実践」を紹介し、地域連携学校教育の意義について考えていきたいとの趣旨説明があり、各パネリストの紹介が行われた。
柏原市教育委員会指導課 指導主事 野田俊弘氏による「柏原の教育と地域」では、まず、柏原市の歴史、風土、市勢の紹介に続き、大阪教育大学と連携して行われている地域連携学校教育の一つ、スタディー・アフター・スクール(SAS)が紹介された。
SASは、放課後の小学校の空き教室を利用し、大阪教育大学の学生が地域ボランティアとともに、子どもたちの学習補助やグループ活動をしながら学級づくりを行う取り組み。学生がローテーションを調整して、3校で行っている。
子供の様子や学習状況などを、教師と学生で「日報」を通して連絡を密にしている。また、指導法について、学生と学習支援ボランティアでスタッフ・ミーティングを熱心に行っている。学生はとても積極的で、熱心に取り組んでくれている。各校の状況に合わせて、活動内容や対象学年も柔軟に行っている。
保護者から「宿題を終えて帰宅するので時間の余裕ができた」「親子の会話が増えた」「学習習慣が身についた」といった意見が聞かれた。子供たちの「勉強でわからないところがよかった」「宿題を教えてくれてありがとう」といった声があり、90%以上がよい印象を持ってもらっている。学生の感想は、「自分が将来目指すべき教師像がみえてきた」「自分が成長できた」と好評。
柏原市としては、市内全校実施を目標としているが、現場では、増えても後2〜3校が限界である。学生も子どももともに成長できるこの取り組みを継続していきたい。
 大阪府中部農と緑の総合事務所 地域政策室緑政企画総括主査 野田敏弘氏による「森林体験で出会う地域と子ども」では、行政マンの立場からの提言がおこなわれた。
柏原市の「高尾山創造の森」で実施している「森林体験学習」は、当初(平成5年)柏原市において、大阪府農林部局と柏原市が連携し、柏原市立小学校を対象として学習会を実施していた。体験学習の最初のテーマは「知識を与えるのではなく、自然を自分なりに受け止め気づいてもらう」というものであった。森づくり委員会を設置し、年間活動プログラムを協議し、体験学習、事後学習を実施していた。平成14年、大阪教育大学に参加と連携を要請した。
具体的な「土壌観察」と「落ち葉のお風呂」を例に森林体験学習における、児童の様子と学生の活動が 紹介された。
府民のアイデアをいただきながら共に森づくりを進めるという構想のもと、昭和60年から始まった「府民参加の森づくり」事業の一環として「高尾山創造の森」は昭和63年から整備を始めた。子どもたちに自分たちで自然の良さに気付いてもらいたいというアイデアも府民から出た意見に基づく。創造の森もまだ発展途上である。今後も、皆さんのアイデアと子どもさんたちのお手伝いをいただきながら、少しづつ少しづつ整えていきたい。
大阪市教育委員会事務局生涯学習部市民学習振興担当 主任指導主事 宅見ヒロ子氏による「地域の人と人とのつながりによって子どもをはぐくむ教育コミュニティづくり」では、学校と地域と家庭が協働して、子供たちの教育に関わっていくことを目指す「大阪市教育改革プログラム」の中の、「小学校区教育協議会はぐくみネット事業」が報告された。平成14年に10校で始まった「はぐくみネット事業は平成19年度、296小学校区に広がった。 これは、地域の教育資源を学校教育に活用して地域における「教育コミュニティづくり」を構築し、未来に向かって逞しく生きる浪速っ子の育成を目的としている。協議会は25名平均で組織化されているが、常時集まるのは困難なので、10名程度の事務局会議を設置し、その中の3,4名の方に教育委員長名義でコーディネーターを委嘱して中心となってもらい実施している。
この事業の三本柱について説明される。
- 学校教育の支援:地域の教育資源を学校に導入
都島小学校の事例:を紹介。総合的な学習の時間で「水」をテーマに様々な視点で調べ学習をしたことが契機となり、バスで「城北わんど学習」に行く。地域住民の活動家がゲスト教師として指導。図工の時間にペットボトルで「もんどり」を作成し、わんどに設置。ザリガニが捕れて子供たちは大喜び。プランクトンにも目を輝かせる。ジャンボタニシの生息も観察できた。自分の目で確かめ、肌で感じ、心で感じたと思う。きっと子供の故郷の原風景になるのではないか。
- 教育コミュニティづくり
大阪市は平成元年度より生涯学習事業を展開したが、学校教育とは無関係に行われていた。現在は、開かれた学校づくりの中で、学校支援として積極的に実施。地域の共有財産である小学校で、大人と子供が出会い、豊かな交流を深め、人と人とのふれあいを深める。 築港小学校の「子どもかんらんしゃフェスティバル」ではPTA担当の餅つき、老人会担当のだるま落し、PTAOBと教職員による段ボールプラント、女性会による割りばし工作、水上消防署による防災訓練体験が行われた。
- 情報の発信
人材募集、学校の情報発信あるいは地域の情報収集等を媒介する地域での情報共有紙としての機能を果たしている。学校の説明責任を果たす場としての機能も担っている。
296全小学校区で展開されているが、地域の状況の違い等によりはぐくみネットの活動にも、温度差はある。今後も積極的に実践していきたい。
大阪府教育センター 神崎雅子氏による「地域連携で元気な学校、愛着をもてるまちづくり」 では、大阪府下で取り組まれている地域と連携した学校教育の事例が紹介された。
子供たちを取り巻く複雑な状況の変化の中で、2007年11月に中教審答申が出された。この答申の中で、「今の子供たちに必要な学力として『知識・技術』とともにそれを『活用する思考力・判断力・表現力』であったり 、学力の基盤である『学ぶ意欲』」だと示されている。
学校教育と地域の連携の中で、子どもたちが将来を見通す力を育めないかという取り組みが、大阪府下でも「地域教育連絡協議会」の下、いろいろなところで取り組まれている。その中から、本日は守口市と茨木市の事例を紹介するが、紹介した事例以外にも、夜遅くまで教師と地域住民が協議している事例もあることをお断りしておく。
- 守口市立大久保中学校の「校区連携推進協議会」の中で、大久保小学校での食育と安全を-キーワードにした活動と総合的な学習を活用した活動の紹介。
大阪国際大学短期大学部と守口市保健所との連携のもと、食育フェスタと食育フォーラムを実施している。「子ども安全・安心サポート事業」に関しては、350名ほどの地域ボランティアが登録されて「校区声かけ隊」が活動している。もう一つ、「総合的な学習の時間」を中心としてゲストティーチャーや地域での聞き取りを取り入れた地域連携が3年生、5年生、6年生で取り組まれている事例が紹介された。
- 府立茨木高校で高校生が企画し実施している:、子供たちが主役のまちづくりが紹介された。
「茨城高校ほっとスクエア」という1連の活動の中で、大阪大学留学生センターとの連携で東南アジア屋台村の活動。次に、キャリア教育の一環としてお母さん方にインタビューする事業と高齢者から話を聞く事業から発展した、高校生がつなぐ異世代交流運動会。高齢者ボランティアNPO、追手門大学、春日丘高校、少林寺拳法を習っている子どもたちと協力したグリーン大作戦。さらに、茨木市の各課と連携したまちづくり活動等を、生徒自身が企画・運営をして行っている。
元気になる地域連携のポイントとして、1.連携事業の事前と事後のていねいな指導、2.成長段階にあわせた取り組み、3.地域連携でキャリア教育の育成、4.学校が地域の拠点になり地域と学校の双方向での活性化、が指摘された。
【質疑応答】
これらの提言に対し、会場からは活発に本質を突く質問が出された。
- 質問1
地域活動ボランティアを行っているが、教育委員会が主催で、ボランティアが交代で学校を障害者に開放しているが、子供たちの参加が非常に少ない。肝心の子どもが乗ってこないのは、他の自治体でも同様ではないか、厳しい現状がある。このような状況に対してどのように考えていくか?取り組んでいるかをお聞かせいただきたい。
- 野田コーディネーター
地域と学校の距離を縮めることを目指してやっているがなかなか難しい。キッズ・マートでは、地域住民の参加協力が不可欠であり、いろいろ苦労してそれなりにできているが、一番苦労している点である
- 宅見氏
学校に鍵はかかっているが、地域に開かれた学校づくりを推進している。学校体育施設開放を通して、また地域開放講座を開催している。場所と時間を決め、学校から情報誌で発信して、教育コミュニティの活動の情報発信を積極的に行っている。
- 質問2
シニア自然大学で環境教育に関わっている者ですが、下記の4つの問題にどのような見解があるかを聴きたい。
1.こういう活動を進めるスキルを持った人の人材育成が大きな問題。
- 柏原の野田氏
新任担当の指導主事や教育研究所のスタッフが新人養成を行っている。SASや森林体験学習の学生と話し合っていると 、これからの人材育成ではインターンシップによる「実践の中で身につける」「先輩の教師から学ぶ」中で育っていると思う。
- 宅見氏
市民ボランティアの方に教育委員長から委嘱状を渡してお願い。また研修も実施している。子どもたちの笑顔や、小さな喜びを発信する、そのような人と人のつながりを深めてゆく中で人材育成という形になっている。
- 野田コーディネーター
学生もボランティアもそこに参加することで成長している部分が大きい。また感謝されている 、子どもが成長しているという実感、やりがいなどを感じることで指導者としても成長していただく、そういうことが今の段階ではうまくいっているということではないか。
2.ニート、フリーターを生まない教育をどう作り上げてゆくかという問題。
3.少子高齢者社会に対応する能力をどうつくってゆくのかという問題。
- 神崎氏
これから子どもたちが働くということをどのように身につけてゆくのかという問題として、答える。死を現実として理解できない子供たちが増加している。バーチャルな世界しか知らない現状が問題。異世代交流も含め、いろんな人との出会いができる教育が必要。また高齢者の本物の技や知恵を授業に活用していくことで、子供たちの心が耕され、子どもたちが将来に向けたデザインをしてゆくことが大切。
4.食料自給率も含め、地球環境問題にどう関わるかという問題。
- 農と緑の野田氏
専門職が学校に出かけていって、環境出前講座といった授業を行なっていた。しかし、こういった授業を受けられる子どもは限られる。対応策として、学校の先生に専門職の専門知識や技術を提供する研修システムにシフトしつつある。大阪教育大学が、地域連携学校教育として学校教育に関わることで 、小中学生への体験学習に専門性が導入できるようになったと評価している。
「農の巧」等のプロ中のプロの人材を活用し、また積極的な情報提供を行っている。
急激な前進は難しいかもしれないが、例え半歩でも前進できるように協議検討する場を開催する努力を行っている。
- 質問3(質問2に続いての質問)
地域に愛着のある教育や人と人の触れ合いのある教育は大切である。
学校と家庭との乖離が顕在化しているが、このことについてどのように取り組んでいるか。
もう1点、地域には素晴らしい人材がいるがその人材をどのように活用してゆけばよいか。
- 野田コーディネーター
地域人材の活用に関してはもう回答していただいているが、学校と家庭の距離という問題については、地域との距離も含めて、縮めたいということで地域連携学校教育に取り組んでいる。まだ全体的にできているとは言えないが、それぞれのところで努力しているというのが現状。今後の課題をいただいたと考え、意識しながら取り組んで行きたい。
教育コミュニティとか社会ネットワークの共通点として、「地域の協働性を育てる中核に学校がなっていく」ということを目指して個々の実践が行われている。ただし、学校の教育としてある以上、教育の質を問われないといけない。どういう学力をつけるのか、いつも悩んでいるが、更に教育の質を高める実践にしてゆきたい。
長尾彰夫副学長の挨拶
「地域そのものを創り出していくという発想も必要ではないか。地域・家庭・学校の連携が固定的に出来あがっているものではなく、地域・家庭・学校の三者が相互の連携の中で相互にダイナミックに創造していくよう実践していきたい
事業の成果と今後の事業への反映に向けて
- 本フォーラムの成果
本GPの目的は2つある。一つは、柏原市における地域連携学校教育の継続的実施体制を構築することであり、いま一つは、それらへの学生の参加システムを構築することである。今回のフォーラムにおいては前者の目的に重きが置かれ、新しい概念である「地域連携学校教育」という言葉の内容について、幅広い視点から考え、共通理解を深めることをめざした。まず、大きな背景としてはグローバルな視点から、持続可能な開発のための教育に繋がるものであることが示され、日本の教育改革の視点からは、家庭と地域と学校の連携で進める、開かれた学校づくりの重要性が理論的考察と実践事例によって示され、再確認された。そして、柏原市において地域連携学校教育として実践されている3つの取り組み以外にも、大阪府下においては、大阪市教育委員会によって推進されている「小学校区教育協議会はぐくみネット事業」と大阪府教育委員会によって推進されている「地域教育連絡協議会」において取り組まれている地域と連携した学校教育事例が紹介され、その成果が示された。
今回のフォーラム参加者は、大学教職員、学生に加え、教育関係者、地域ボランティア活動実践者、地方自治体職員と多岐にわたっていたが、ほとんどすべてのアンケートの感想欄でみられたように、地域と連携した学校教育の必要性と重要性をそれぞれの立場で認識することができたことは、今後の事業展開にとって大きな意味があった。特に、これらの活動に参加する学生にとって、その意義を客観的に確認できたことの意義は大きかったと考えられる。
- 今後の事業への反映
今回のフォーラムにおいて指摘されたいくつかの課題は、今回の成果以上に大きな意味があったと考えられる。一つは、イベントとしての一時的な取り組みとしてだけでなく、日常的な活動の中に位置づけることの必要性である。また、関わる人の個人的な力量に負うところがまだ多く、広く普遍的な活動としてゆくことの必要性である。これらの課題解決は、本フォーラムの開催趣旨にも述べられているように、学校や教員と共に、関わりをもつ多様な組織や地域の大人の意識改革も必要であることを示している。そのためには、地域連携学校教育を受けることによって育つ子どもたちによってその成果を示してゆくことが大切であり、また、本GPで掲げている地域連携学校教育のできる教員養成を推進することが大切である。
今回のフォーラムによって得られた、「地域連携学校教育」の意義と重要性の共通認識が、今後の学生教育の中に反映されてゆくものと思われる。
|